共催した研究集会の発表証明について

(2004.05.31掲載)


 日本化学会主催の年会などにおける発表について発表者からの申請に基づき、特許法第30条にかかる、「公知の認定の例外規定」のための発表証明書を発行していますが、この度、日本化学会が共催した研究集会においても一定の条件のもとで発表証明書を発行することとなりました。

1.日本化学会にあらかじめ共催を申請し承諾された集会であり、「化学と工業」に掲載されたものであること。
2.当該研究集会のプログラム、予稿集、パンフレットなどに日本化学会が共催者であることが明記されていること。
3.申請責任者を選任し、その責任者が、当会に対して証明の内容に責任をもつことを誓約すること。
4.発表後2ヶ月以内に、所定の書式による申請書が日本化学会事務局に提出されること。
共催の条件
1)化学、化学産業の発展に資することを目的とした研究集会であること。
2)十分な責任体制のもとに運営されることが期待されるものであること。
3)共催、協賛、後援者に公序良俗に反する恐れのある団体が含まれていないこと。
4)収益を目標とした商業ベースの集会でないこと
申請責任者の資格
本化学会の個人正会員であって、会員歴10年以上(学生会員の期間も含む)であること。
証明書発行手数料
申請者(受益者であって申請責任者ではない)が日本化学会の個人会員の場合1件当り2,000円、非会員の場合1件当り5,000円。

開催前に提出すべき書類
 誓約書 (rtfファイル "seiyaku.rtf")

開催後2ヶ月以内に提出すべき書類
 発表証明申請
様式1.講演予稿集に記載された範囲の内容についての発表証明  (rtfファイル "yoshiki-1.rtf")
様式2.OHP、ポスターによる発表で、講演予稿集に記載されていない内容についての発表証明  (rtfファイル "yoshiki-2.rtf")

発表後の提出書類は、特許庁に提出するもので全て一冊に綴じて、特許申請の形式を整えたものとして下さい。本会では証明のための捺印のみと致します。
申請先・振込先
  申請責任者登録、発表証明申請、手数料振込先  日本化学会総務部

解説
 わが国の知的財産権を正当に確保するためには、大学においても研究成果の産業上の応用可能性に鑑み速やかに特許申請をすることが求められています。これはまた、産学交流、大学発ベンチャーといった時代の要求にも合致します。
 しかし一方、研究成果が速やかに公表され、他の研究者に公知になることは科学の健全な発達にはきわめて重要なことであります。研究発表の場は常に都合の良いときにあるとは限らず、特許法は第30条においてその救済策を講じていますが、この適用が認められるのは特定の認可された団体が主催する研究集会だけです。  日本化学会は、このような時代の要請と会員からの要望に応えるために、当会が共催する研究集会に対しても当会の責任で証明書を発行することとしました。
 日本化学会の管理下で行われる年会などと異なり、当会が共催する研究集会の多くは、当会の事務局が関与することなく行われるために、その事実確認が難しくなります。この問題を解決するために、対象となる研究集会の関係者の中に、日本化学会の代理として証明の内容に責任をもつ「申請責任者」を任命させていただきます。「申請責任者」は、研究集会の主催団体の代表者と連盟で発表証明の内容に虚偽がないことに対して責任をもっていただきます。「申請責任者」の条件を満たしている場合は、主催団体の代表者が申請責任者をかねることができます。申請責任者は、必ずしも証明の対象となる発表をすべて直接に聞く必要はありませんが、発表の事実、内容が証明書の内容と一致していることを合理的に説明できることが求められます。そのためには、@発表会が責任ある実行体制で運営されていること、Aプログラム内容と発表要旨が事前に公表されていること、B発表の場には座長など運営関係者が必ず立ち会いその内容を証明できること、が必要であります。証明申請者の資格としては、当会の個人正会員で、会員暦10年以上であることを求めます。
 なお、共催する研究集会を対象に発行された発表証明書が法的に有効であることは、 特許庁のホームページ中の「よくある質問」の第6章「特許法第30条Q&A」Q22に対する答えによっています。まだ、この項に記載された共催が、共同主催を意味し、共催団体以外に主催団体が存在するケースへの有効性が問題になりますが、これについても、特許庁の担当者に問い合わせ、形式的に共催となっていれば良いとの回答をもらっています。
 しかしながら、特許法30条の適用範囲に共催の有効性を判断した判例は少なく、万が一利害関係者から、その有効性に対する訴訟が提起された場合、日本化学会は裁判の結果にまで責任を負うものではありません。また、係争に関わる費用は、主催者側が負担するものとします。
 また、その予防処置として、主催団体には、そのプログラム、予稿集、パンフレットなどに日本化学会が共催者であることを常に明記するよう要請します。


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