私達自身の体を含め、私達の身の回りのあらゆる物質はすべて原子でできています。そして、目に見えるものの多くは、その原子が2個から、時には数百万個精密につながった分子というものが集まったものです。今では、特殊な電子顕微鏡で、原子や分子が観察できるようになりましたが、それ以前から、私達は原子や分子の存在を疑っていませんでした。なぜならば、原子や分子を考えると、さまざまな自然現象や種々の実験の結果をうまく説明できるからです。さらに分子の構造(原子のつながり方)を想定しながら種々の化学反応をつなげて、天然にある物質や、全く新しい物質を人工的につくりだすこともできたからです。私は、50年以上も前の小さい頃、父につれられてある会社の説明会にいき、ナイロンと言う素晴らしい性質をもつ繊維が、空気と水と石炭を出発原料として化学反応によって合成されることを知り、驚きと感動を覚えました。その後、化学は長足に進歩し、今では、新しい材料や医薬品が数多く合成されて、私達の生活を豊かにしています。化学なくして私達は生きてゆけません。しかし、物質の性質を探り新しい物質を求める旅は、まだまだ奥が深く、私達はその入り口近くにいるにすぎません。皆さんの前にはまだ、未知の世界が広がり、夢とロマンに満ちた旅が待っています。